 |  | 弟が高校生の頃、水を入れたペットボトルをダンベル代わりにしていたのですが、水を入れっぱなしにしていたので中に黒っぽいカビが発生しました。 自分で気付いて捨てるだろうと思っていたのに、何日経っても部屋に置いてあるので、ある日「それカビてるよ」と声をかけたところ… 「せっかく生えたからちょっと育ててる」という、エキセントリックな返事。 別にネクラとか菌類マニアとかではないのです、うちの弟。スポーツやお笑い芸人が好きな、まあまあ普通の高校生でした。それだけにこの日姉は衝撃を受けました。
そもそもカビはキノコと同じ糸状菌の一種なのですが、キノコとの違いは子実体の形成の有無のみ。子実体というのは、胞子を形成する為に菌糸が複雑に組み合わさった構造のもので、つまり胞子の形成方法でカビとキノコを区別しているのです。因みに子実体を形成するのがキノコ。カビは子実体なしで胞子を形成します。 種類も様々なカビですが、日常生活で目にすることの多いものは以下のカビです。
* クラドスポリウム(クロカビ) 黒いカビを見たらクラドスポリウムと思え、という程多く発生します。高温、低温、乾燥にも強く、様々な基材を劣化させ、アレルギーの原因にもなります。 * ペニシリウム(アオカビ) 200種以上の種類があり、世界中に分布しています。色は白、灰色、ピンク、黄緑、緑、青と様々。抗生物質のペニシリンを生産するカビ菌として有名ですが、このカビ菌の中には、マイコトキシン(カビ毒)を生産するものもあり、肝臓ガン、腎臓ガン、肝硬変などの原因にもなります。 * アスペルギルス(コウジカビ) 自然界に広く分布していて、色は白、黒、黄などがあります。古くから味噌や醤油などの醸造に利用され、また医薬品(ジアスターゼ)や酵素の製造に利用されていますが、その一方でアフラトキシンという肝ガンを引き起こす強いカビ毒を生産するものもあります。 * アルテルナリア(ススカビ) 黒色で自然界に広く分布しでいます。建物の塗装面やビニールクロスからもよく検出されます。またプラスティックを好物とする為、シャワーカーテン、ホース、ゴム手袋、風呂場のスノコや椅子の裏側にもよく発生します。クーラー内部のプラスティック面にも発育し、冷気とともに胞子をまき散らすため、喘息の原因にもなります。 * トリコデルマ(ツチアオカビ) 発育がとても早く、低温(5℃〜6℃)でも繁殖するカビ菌です。繊維質や木材、紙、クロス表面、畳、エアコンや加湿器などから多く検出されます。 * フォーマー 黒褐色、黄褐色のカビ菌で、生育が旺盛です。土壌、農産物、食品場、乳製品工場の他、住宅内の水まわりなどからも多く検出されます。 * オーレオバシディウム(黒色酵母) 太陽光線にも乾燥にも強く、自然界に広く分布しています。温地の土壌、汚水の他、住宅内では風呂場、台所などの湿気の多い場所に発生し、ぬめりを伴います。また胞子を吸入すると過敏性肺炎の原因にもなります。 * フザリウム(アカカビ) 農産物を汚染するカビ菌ですが、土壌、河川、汚水、空中、室内にも広く分布します。色は赤紫、赤橙、ピンク、黄、褐色、白などですが、赤っぽい色の色素を出すものもある為、俗名アカカビと呼ばれています。角膜真菌症の原因になります。 * ムコール(ケカビ) 水分の多い土壌や河川周辺の植物に付着して生息します。住宅内では風呂場や洗面所、台所の壁から検出され、また果実や野菜などにも発生します。 * リゾプス(クモノスカビ) 蜘蛛の巣様に生え、水分の多いところに発生します。低温(10℃以下)でも発育する好冷菌で、室内のほこりの中からもよく検出される他、パン、野菜、穀物、果物にも発生します。
カビが原因でガンになることもあるなんて、何だかピンとこない気もしますが… 興味深いのはガンの原因になるペニシリウムやアスペルギルスが医薬品の原料としての一面も持っていること。アスペルギルスは食品の醸造にも使われていますしね。 そういえば味噌はガンを防ぐと言われていますが、アスペルギルスが原因のガンもアスペルギルスで醸造した味噌で防ぐことができるのでしょうか。矛か盾かという話になってしまいますが…
あまり知られていませんが、頭皮のフケの原因になる癜風菌や、カンジダ症の原因になるカンジダ菌もカビの一種で、人間の皮膚や粘膜に常在しています。これらの菌は普段は人間と共存していますが、何らかの原因でその菌が異常に増殖すると、人体に好ましくない作用を示します。また、水虫の原因になる白癬菌も感染性のあるカビの一種です。
毒にも薬にもなるカビ、実は人の命をも左右する力の持ち主のようです。
(株)クオリティー・オブ・ライフ 医療情報室 福川 二菜 |  |  |  |  |  | |  |
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